「個人のキャリアの8割は、偶然によって決定される」「18歳の時に考えていた職業に就いている人は約2%」―。
この半年間、全国の仲間とオンラインでつながり、「キャリア」について学んでいる。キャリアとは本来、職業・専門職・職歴などといった点や結果を指す言葉ではなく、「働くことにまつわる継続的な過程」や、家庭や社会活動、自己探求を含めた「生き方」全体を指し、線や面を成すと考える。
働いて生きていくうえで、苦悩は尽きない。その解決の糸口に活用できるのが、先人たちが紡いだ数々のキャリア理論なのだが、共に学んでいる仲間から人気があり、私も好きな理論が、冒頭の「計画的偶発性理論」だ。米国スタンフォード大学のクランボルツ教授らが1999年に調査・提唱した。
自身を振り返る。函館近郊で今、その地に生きる方々の思いに耳を傾け、共に学んでいると、気付きや成長の過程を目の当たりにできる。ワークショップのファシリテーター(進行役)やイベント企画、研修講師などの機会をいただくのも、予期せぬ出来事の重なりばかりだ。東京で一会社員に過ぎなかった5年前には、こうしてコラムを書くことも想像できなかった。
偶然の風をつかまえる。そして羽ばたいてみる。偶然が快きものになるのには、行動はセットだ。
今、二つの質問を贈りたい。
あなたに良い影響をもたらした予想外の出来事は何ですか。それはあなたが事前・事後にどんな行動をとったからですか。
泉 花奈(まちの編集者・函館)
2022/10/16 北海道新聞朝刊 コラム「朝の食卓」より一部編集